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言った所で、信じる筈ないから言わなかったが、今日だって報告にきたんだ。
黒さんに。
この碌でもない男を…愛してしまいました、って。
「凛。」
長い指が、唇を辿る。
どーしようも無い男だが、オレに触れる時に見せる、嬉しそうなこの表情に、ほだされてしまったんだろうか。
「お前はオレのものだろう…?」
「………オレはオレのものだ。」
他の誰のものでもない。
―――でも。
「…でも、傍にいてやるよ。」
傲慢不遜な王様の首に、自ら腕を絡めると、笑みを浮かべた唇がゆっくりと近付いてくる。
「離さねぇよ。」
愛してる、なんて言葉よりよっぽども似合いの言葉と一緒に、深い口付けが落とされた。
オレの描いていた平穏な未来は、この男の傍では得られるはずもなく。
愛している、と囁かれても、安心なんて全く出来ずに、オレは苦しんだりもするだろうけど。
―――それでも。
オレはアンタの隣にいるよ。
だから、
「―――離すなよ、…暁良。」
どうせ堕とすなら、奈落の底まで連れてゆけ。
供は黒猫一匹で十分だろ?
なぁ。
傲慢で無慈悲な孤高の王様。
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