Sub 7 言った所で、信じる筈ないから言わなかったが、今日だって報告にきたんだ。 黒さんに。 この碌でもない男を…愛してしまいました、って。 「凛。」 長い指が、唇を辿る。 どーしようも無い男だが、オレに触れる時に見せる、嬉しそうなこの表情に、ほだされてしまったんだろうか。 「お前はオレのものだろう…?」 「………オレはオレのものだ。」 他の誰のものでもない。 ―――でも。 「…でも、傍にいてやるよ。」 傲慢不遜な王様の首に、自ら腕を絡めると、笑みを浮かべた唇がゆっくりと近付いてくる。 「離さねぇよ。」 愛してる、なんて言葉よりよっぽども似合いの言葉と一緒に、深い口付けが落とされた。 オレの描いていた平穏な未来は、この男の傍では得られるはずもなく。 愛している、と囁かれても、安心なんて全く出来ずに、オレは苦しんだりもするだろうけど。 ―――それでも。 オレはアンタの隣にいるよ。 だから、 「―――離すなよ、…暁良。」 どうせ堕とすなら、奈落の底まで連れてゆけ。 供は黒猫一匹で十分だろ? なぁ。 傲慢で無慈悲な孤高の王様。 . [*前へ] [戻る] |