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尚久さんの言い分は、最もだ。
一時間程度、幼児ならともかく、高校生の少女ならば、心配するのは過保護というものだ。


…健康な少女ならば。


一番近い場所にいる桜子さんの様子を見る限り、撫子さんは、誰にも何も告げずに、一人で何処かへ行ってしまうタイプじゃない。
最低限、桜子さんには、言っていくんじゃないだろうか。


それに、あの触れれば折れてしまいそうな、華奢な体付きと、広間での蒼白な顔を思い浮べると、オレでさえ心配になる。


…なのに何故、婚約者である尚久さんは、冷静そのものなんだろう。


「僕も探してみるよ。見つけたら、君達が探してくれていた事を伝えるから。」

「…お願いします。」


頭を下げる桜子さんの背を支えながら、オレは尚久さんを盗み見る。


垢抜けた小綺麗な顔に、優しげな笑みを浮かべた尚久さんは、婚約者の姉をも気遣う好青年に見えた。

心配そうに表情を曇らせる彼に、不審な部分は見つけられない。


…けれど、何故かオレは、そんな彼に違和感を感じた。


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あきゅろす。
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