[携帯モード] [URL送信]

Main
2


「……何ですか」


じっと見つめられているのが居心地が悪くて、警戒する様に言えば、センセは喉を鳴らして笑った。


「……いや。叱られるのを待つ子供みてぇだなぁ、と思ってな」

「…………」


それに対しての反論は、悔しいが思い浮かばなかった。実際、怒られるの前提だったし。


センセは、ひとしきり笑うと、少し冷めたコーヒーを口に運んだ。
そんな仕草一つとっても、オレとは違い絵になるんだから、大人ってのはズルいと思う。


「……確かに、昨日の時点では、色々ムカつき過ぎて頭おかしくなりそうではあったんだがな」

「…………」


……なんか、サラッととんでもない事言ったような。
昨日のセンセに会わなかったオレ、グッジョブ。完全に死亡フラグ立ってた。


「一晩、自分に言い聞かせてた。お前にあたっても、何一つ良い事がねぇだろってな」

「……センセ」


そう笑う彼の目の下には、うっすらとだが、クマがある。
罪悪感を覚えそうになるオレは、センセの次の言葉で固まった。


「おかげでオレの部屋から、ブランデー用のグラスが全部消えた」


普通に飲んでるつもりなんだが、ことごとく割れるんだよな。と笑うセンセに、オレは笑えなかった。
……そのグラスの末路は、未来のオレの姿ですか。


.

[*前へ][次へ#]

16/59ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!