Main 2 「……何ですか」 じっと見つめられているのが居心地が悪くて、警戒する様に言えば、センセは喉を鳴らして笑った。 「……いや。叱られるのを待つ子供みてぇだなぁ、と思ってな」 「…………」 それに対しての反論は、悔しいが思い浮かばなかった。実際、怒られるの前提だったし。 センセは、ひとしきり笑うと、少し冷めたコーヒーを口に運んだ。 そんな仕草一つとっても、オレとは違い絵になるんだから、大人ってのはズルいと思う。 「……確かに、昨日の時点では、色々ムカつき過ぎて頭おかしくなりそうではあったんだがな」 「…………」 ……なんか、サラッととんでもない事言ったような。 昨日のセンセに会わなかったオレ、グッジョブ。完全に死亡フラグ立ってた。 「一晩、自分に言い聞かせてた。お前にあたっても、何一つ良い事がねぇだろってな」 「……センセ」 そう笑う彼の目の下には、うっすらとだが、クマがある。 罪悪感を覚えそうになるオレは、センセの次の言葉で固まった。 「おかげでオレの部屋から、ブランデー用のグラスが全部消えた」 普通に飲んでるつもりなんだが、ことごとく割れるんだよな。と笑うセンセに、オレは笑えなかった。 ……そのグラスの末路は、未来のオレの姿ですか。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |