Main 二者面談? 数学準備室へ迎う途中、センセは一言も発しなかった。 センセの背中を見つめながら、その無言は怒りを主張しているのかとビクついていたが、よくよく観察してみると、それも違うように思う。 実際、数学準備室についてからのセンセは、いつものセンセだった。 「そこ座れ」 指差されたソファーに、大人しく座る。 声の調子も別段かわり無く、何時も通り。 拍子抜けしたオレがぼんやりと見守る中、センセは戸棚に向かい、カップやらを取り出した。インスタントのコーヒーを淹れるつもりらしい。 濃いめが好きなので、コーヒー二サジ、砂糖無し。ブラック派だが、オレが胃に悪いと注意してからは、クリープ二サジが追加されるようになった。 「ほら」 此方へ近寄ってきたセンセは、オレの前にピンク色のマグカップを置き、向かいのソファーへ、どっかりと腰掛ける。 ありがとうございます、と小さく呟き、冷ましながら一口飲むと、甘い。 オレのにはプラス砂糖二サジらしい。 視線を感じて顔を上げると、視線がかち合い、センセは笑みを浮かべた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |