Main 2 「…………。」 扉を開けた瞬間、視線がオレに集まる。 ほぼ全員揃っている室内は、一瞬、シンと静まり返った。 ……覚悟した筈、だった。 でもやっぱり、声が震えそうになる。 自分が思っている以上に、オレはこのクラスが好きだったらしい。 ――怖い。 嫌われるのは、やっぱり怖い。 俯きそうになる顔を上げ、オレが室内に踏み出した、その時。 …ドンッ、 「…っ?」 横から、何かにぶつかる衝撃を受けた。 「うぉっ?…悪い悪い、よそ見してたー。…って、何その変な顔。」 オレに向けられたのは、突き刺さる様な糾弾…では無く、なんとものんびりとした謝罪。 顔を強張らせたオレを見て、ぶつかってきた相手…クラス委員長の羽生は、目を丸くした。 「どっか痛くした?」 「何やっている、委員長。…斎藤、痛いならちゃんと言え。慰謝料を払わせろ。」 心配してくれる羽生の横から、神林がオレを覗き込む。 「あーあ、委員長。酷ーい。朝から斎藤泣かせたー。」 「そーだよ。斎藤泣いてるよ!謝んなさいよ男子!」 「小学生女子かお前は!」 次々と会話に参加してくるクラスメイトに、オレは呆然とそれを見守る事しか出来なかった。 野次に紛れつつも、本当に心配してくれる奴らもいて、オレは自然ににやけてしまうのを止められない。 ………オレってもしかしなくとも、凄い幸せ者だったりしますか? . [*前へ][次へ#] [戻る] |