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『陰』がオレ…斎藤凛だと、ちゃんとは理解していなかった?


言葉の意味を考え、オレは混乱する。


自分から宣言する前に、二人にはバレていたんじゃなかったっけ?


今更な言葉にぐるぐると悩んでいると、西崎は苦笑を深めた。


「…黒龍のみに絶対的な忠誠を誓う、『黒龍の影』」

「…………。」

「それがお前の二つ名だろう。」


オレは真顔でコクリ、と頷く。

それに異論は無い。


正直『導き手』は、オレには過ぎた名だと思う。
少し道に詳しい程度のオレが受け取るべき名では無いと。


けれど、『黒龍の影』は、素直に誇らしい。

本当は、能力的にはもっと相応しい人がいるのかもしれないけれど、

オレは此処を、譲りたくない。否、譲らない。


表舞台には出ず、黒龍に付き従い、彼の人の為にのみ働く事の出来るその立ち位置は、

オレが、何より望んだ場所だから。



「…黒龍は、お前にとっては、ただの保護者ではないんだな。」


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あきゅろす。
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