Main 5 『陰』がオレ…斎藤凛だと、ちゃんとは理解していなかった? 言葉の意味を考え、オレは混乱する。 自分から宣言する前に、二人にはバレていたんじゃなかったっけ? 今更な言葉にぐるぐると悩んでいると、西崎は苦笑を深めた。 「…黒龍のみに絶対的な忠誠を誓う、『黒龍の影』」 「…………。」 「それがお前の二つ名だろう。」 オレは真顔でコクリ、と頷く。 それに異論は無い。 正直『導き手』は、オレには過ぎた名だと思う。 少し道に詳しい程度のオレが受け取るべき名では無いと。 けれど、『黒龍の影』は、素直に誇らしい。 本当は、能力的にはもっと相応しい人がいるのかもしれないけれど、 オレは此処を、譲りたくない。否、譲らない。 表舞台には出ず、黒龍に付き従い、彼の人の為にのみ働く事の出来るその立ち位置は、 オレが、何より望んだ場所だから。 「…黒龍は、お前にとっては、ただの保護者ではないんだな。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |