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「…黒さんが、オレを軽蔑しなくても、オレは後ろめたくなる。」


頑張ってもいないのに、ただあの人の手に縋り付いて、背に庇ってもらったりしたら、オレは自分が許せない。


『家族』なら、甘えてもいい、なんて
歪ませたくない。


今まで、弱いなりに必死になって進んできた。
それを、こんな風にダメにしてしまったら、


今までの大切な日々さえ、汚してしまいそうで。


「オレは、あの人に恥じるような生き方はしたくない。」


黒さんの足枷になる位なら、

――死んだ方がマシだ。


「…………。」


静かにそう告げると、西崎と武藤の目が瞠られた。


「…………、お前」


小さな呟きのような声は途中で途切れた。
武藤は何故か、野性的な美貌を苦く歪める。


「……?」


不思議に思い、瞳で問うが、視線は逸らされてしまった。


戸惑い、助けを求めるように西崎を見ると、西崎は苦笑を浮かべる。


「……今、改めてお前が、『陰』だと実感した。」

「え?」

「噂で聞いた『陰』がお前だと、ちゃんとは理解していなかったんだな。オレ達は。」


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