Main 4 「…黒さんが、オレを軽蔑しなくても、オレは後ろめたくなる。」 頑張ってもいないのに、ただあの人の手に縋り付いて、背に庇ってもらったりしたら、オレは自分が許せない。 『家族』なら、甘えてもいい、なんて 歪ませたくない。 今まで、弱いなりに必死になって進んできた。 それを、こんな風にダメにしてしまったら、 今までの大切な日々さえ、汚してしまいそうで。 「オレは、あの人に恥じるような生き方はしたくない。」 黒さんの足枷になる位なら、 ――死んだ方がマシだ。 「…………。」 静かにそう告げると、西崎と武藤の目が瞠られた。 「…………、お前」 小さな呟きのような声は途中で途切れた。 武藤は何故か、野性的な美貌を苦く歪める。 「……?」 不思議に思い、瞳で問うが、視線は逸らされてしまった。 戸惑い、助けを求めるように西崎を見ると、西崎は苦笑を浮かべる。 「……今、改めてお前が、『陰』だと実感した。」 「え?」 「噂で聞いた『陰』がお前だと、ちゃんとは理解していなかったんだな。オレ達は。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |