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「……まだ、何かあった訳じゃないし、」
「あってからじゃ遅ぇ。」


言い訳じみたオレの言葉は、鋭い武藤の声に遮られる。

いつだか、黒さんにも言われたセリフだ。


…分かっている。
それが正しい事も、
オレのコレが、意地に近い事も。


それでも、


「…何も起こっていないうちから、泣き付くようなまねはしたくない。」

「…………。」


武藤と西崎は、厳しい目でオレをじっと見つめた。

諫めるような視線から、オレは目を逸らさず、見つめ返す。


間違っている、と責められても、引けない時がある。


泣き付いて、守ってもらう事が、悪い事だとは思わないけれど、

それじゃ、隣には立てない。


オレなんて、弱いただのガキだけど、
それでも、後ろに庇われるだけの存在にはなりたくないんだ。


例え、誰に分不相応だ、と罵られても、
身の程を弁えろと、糾弾されても、


オレは、あの人の、『隣』に立ちたい。


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