Main 2 「……まだ、何かあった訳じゃないし、」 「あってからじゃ遅ぇ。」 言い訳じみたオレの言葉は、鋭い武藤の声に遮られる。 いつだか、黒さんにも言われたセリフだ。 …分かっている。 それが正しい事も、 オレのコレが、意地に近い事も。 それでも、 「…何も起こっていないうちから、泣き付くようなまねはしたくない。」 「…………。」 武藤と西崎は、厳しい目でオレをじっと見つめた。 諫めるような視線から、オレは目を逸らさず、見つめ返す。 間違っている、と責められても、引けない時がある。 泣き付いて、守ってもらう事が、悪い事だとは思わないけれど、 それじゃ、隣には立てない。 オレなんて、弱いただのガキだけど、 それでも、後ろに庇われるだけの存在にはなりたくないんだ。 例え、誰に分不相応だ、と罵られても、 身の程を弁えろと、糾弾されても、 オレは、あの人の、『隣』に立ちたい。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |