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Side 尚久
※尚久視点です。


パタタッ…


床に、鮮やかな鮮血が散る。


ポツポツと増えていく赤い染み。


それを呆然と見つめていると、同じように愕然と目を見開いている撫子と目が合う。


「………っ、あ…」


擦れる声を洩らし、カタカタと震え出した彼女は、そのまま崩れるように、床へと崩れ落ちた。


ギュ、とオレを後ろから引き寄せるように抱き締めていた誰かの手に、力が込められる。


「…っあ、く…!!」


呻く声がして、オレを抱き締めていた体が、ゆっくりと膝をついた。


「…っ、」
「っぁあ!!」
「!?」


反射的に振り返って、その体を支えるが、腕を掴んだ瞬間、苦悶に満ちた悲鳴があがり、オレはらしくもなく慌てふためいた。


「………っ!!」


掴んだ腕に、刺さったままのナイフを見て、オレは限界まで目を見開く。



――、何故


庇われた、その事実は、分かる。


だが、何故


何故彼は、オレを、庇った。



彼を傷付けたオレなんかを、何故―――。


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あきゅろす。
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