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「………、」

「…っ!?」


知らない振りが出来たら、どんなに楽だろう。


けれど、もう見過ごす事は出来なかった。


オレは、座り込むしずかちゃんの頭を、そっと抱き込む。

ビクリと跳ねた体が、事態を理解したのか、徐々に力を抜いた。


「…………りっ、ちゃん…?」

「……うん。」


勝手に暴いてしまってごめん。

見られたくなかったよね。
聞かれたくなかったよね。


本当は見ない振りが一番優しいのかもだけど、


無理。





オレ、ここにいるよ。


何にも出来ないけど、


貴方の隣に、
――ちゃんといるから。



「…………、り」
「痛いの痛いの、とんでけー。」
「!?」


しずかちゃんの言葉を遮り、オレは小さい子にするみたいに、おまじないを唱える。


あまりに場違いなオレの対応に、悲しそうな瞳が、丸くなった。


「…っ、」


次いで、フハッと堪え切れなくなったように吹き出す彼。


「…りっちゃん、オレ、三歳児じゃないし!」

「似たようなモンだよ!しずかちゃんの泣き虫。」


泣き笑うような顔の彼に額をグリグリつけて、同じようにオレも笑った。


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あきゅろす。
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