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「…優しいのは、斎藤君でしょ。」


桜子さんは、そう言って相好を崩した。


「優しくなんて無いです。てか、社交辞令で言ってるわけじゃなくて、桜子さんは、本気で可愛いですよ!」


うん。これは譲れない。

だってオレ、こんな可愛い子、他に見た事無いし!


「………待って。あんまり言われ慣れてないから、照れるよ…。」


マジな顔で言い切るオレに、桜子さんは、頬を薄紅色に染めた。


えっ…マジ、何ですかこの可愛い人…!!


しずかちゃん、絶対見る目無い!!


そりゃ、撫子さんも美人さんですが、桜子さんに好かれて落ちないなんて…本当に男か!?


「…でも、ありがと。……凛君。」


桜子さんは、はにかむように笑み、そう言うと、



「…っ!!」


チュ、と可愛らしいリップ音とともに、オレの頬にキスをくれた。


ヤバイ。鼻の下のびてない?オレ。


「…………。」
「…うわっ!?」


真っ赤になった顔で、頬を押さえぼんやりしていたオレは、何故か後ろから突然、凄い力で引っ張られた。


「…何をしている。」



うわぁ…。
そういや、ずっと無言だったから忘れてた。


つか、何でそんなに怒ってるんですか。

日下部先輩。


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