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「あってますよ…!」


ヤケになって言い切るが、桜子さんは、『あってるんだ』なんて相変わらず呆気にとられた状態で呟く。


凄ぇ、やっちまった感があるけど、今更後には引けない。

つーか、もういくら恥を上塗りしようと、大差無いし!


言いたい事言っちゃえ!的な勢いでオレは姿勢を正した。




「…桜子さんは、可愛くて優しい、素敵な人です。」

「…そんな事、」

「あります!…貴女には、しずかちゃんやオレを責める権利があるのに、貴女は誰も責めない。自分の気持ちを飲み込んで、周りの為に笑ってくれる。」


「…………そんな綺麗なものじゃないよ。私は、ただ自分がこれ以上傷付きたくないだけ。」


「それでも。…笑える貴女は、優しい人です。」


複雑に絡み合った色をした彼女の恋心はきっと、無色透明なモノよりずっと深い筈なのに、


上っ面だけの憧れより余程、

愛に近いように見えるのに。


二人の為に、想いも告げずに諦めようとしている桜子さんは、

オレからしたら、
最高に『良い女』ですよ。


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