Main 3 「あってますよ…!」 ヤケになって言い切るが、桜子さんは、『あってるんだ』なんて相変わらず呆気にとられた状態で呟く。 凄ぇ、やっちまった感があるけど、今更後には引けない。 つーか、もういくら恥を上塗りしようと、大差無いし! 言いたい事言っちゃえ!的な勢いでオレは姿勢を正した。 「…桜子さんは、可愛くて優しい、素敵な人です。」 「…そんな事、」 「あります!…貴女には、しずかちゃんやオレを責める権利があるのに、貴女は誰も責めない。自分の気持ちを飲み込んで、周りの為に笑ってくれる。」 「…………そんな綺麗なものじゃないよ。私は、ただ自分がこれ以上傷付きたくないだけ。」 「それでも。…笑える貴女は、優しい人です。」 複雑に絡み合った色をした彼女の恋心はきっと、無色透明なモノよりずっと深い筈なのに、 上っ面だけの憧れより余程、 愛に近いように見えるのに。 二人の為に、想いも告げずに諦めようとしている桜子さんは、 オレからしたら、 最高に『良い女』ですよ。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |