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「…でも、先に結婚した方を当主にするって言ってましたよね。」


オレらの去り際に投げ寄越された言葉。
しずかちゃんは激昂していたが、第三者的には、お父さんも必死なんだなって、伝わってきた。


「…そうだな。とっとと兄の方が結婚してくれれば、丸く治まるんだが。」


日下部先輩が、ため息まじりに呟いた言葉に、オレは眉をひそめる。


「…それがですね、」

「…何だ?」


言いにくくて、躊躇ったオレの様子に、日下部先輩は姿勢を正し、眼鏡を指でカチャリと押し上げた。


「…オレの勝手な推測なんですが、…しずかちゃんは撫子さんが好きなんじゃないかと。」

「………何だって?」


日下部先輩は、一拍置いて、眉間にクッキリしわを刻んだ。


「でもって、尚久さんと撫子さんは、うまくいって無いっぽいです。」

「……………。」


日下部先輩は、頭痛を感じたように目頭を指で押さえた。


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あきゅろす。
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