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「でも、当のしずかちゃんは、継ぐ気は無いように見えますね。」

「まぁ、可能性はほぼゼロだろうな。此処ではアイツは異分子だし、本人は寧ろこの家を毛嫌いしてそうだ。」


日下部先輩の湯呑みに茶を足すと、彼は礼を言って口をつけた。


「…アイツの華道の腕がどれ程のものかは知らんが、当主というものは、それだけではなれん。志藤は重々それを承知している。」

「…それでも、諦めきれない位、しずかちゃんのお父さんは、しずかちゃんの才能に心酔してるんでしょうね。」

「…もしくは、兄の凡庸さに不安を抱いているか、だな。」


うっわ。
この人、結構毒舌だ。


あんな爽やかイケメンに向かって、凡庸とか!


…華道の才能の話ですね。すいません。



「孤立した天才を選ぶか、調和を保つ秀才を選ぶか…まぁ、その選択は私達には口を挟める問題では無いんだが。」

「…そうですね。」


所詮、部外者。
そのデリケートな問題には触れられません。

…本来は。


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