Main 2 「でも、当のしずかちゃんは、継ぐ気は無いように見えますね。」 「まぁ、可能性はほぼゼロだろうな。此処ではアイツは異分子だし、本人は寧ろこの家を毛嫌いしてそうだ。」 日下部先輩の湯呑みに茶を足すと、彼は礼を言って口をつけた。 「…アイツの華道の腕がどれ程のものかは知らんが、当主というものは、それだけではなれん。志藤は重々それを承知している。」 「…それでも、諦めきれない位、しずかちゃんのお父さんは、しずかちゃんの才能に心酔してるんでしょうね。」 「…もしくは、兄の凡庸さに不安を抱いているか、だな。」 うっわ。 この人、結構毒舌だ。 あんな爽やかイケメンに向かって、凡庸とか! …華道の才能の話ですね。すいません。 「孤立した天才を選ぶか、調和を保つ秀才を選ぶか…まぁ、その選択は私達には口を挟める問題では無いんだが。」 「…そうですね。」 所詮、部外者。 そのデリケートな問題には触れられません。 …本来は。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |