Main 6 「……………っ、」 しずかちゃんは、唇を噛み締め、俯く。 「…………。」 無言のまま、しずかちゃんは、今度こそ部屋を出て行った。 オレは、その背中を追いながら、かける言葉を持たない。 廊下の突き当たりでしずかちゃんは足を止め、外を見つめたまま、じっと動かなかった。 「……………、」 そうして、どれ位たっただろう。 「…変なトコ見せちゃって、ごめんね?」 振り返り、そう笑うしずかちゃんは、若干笑顔が固いものの、ほぼいつもの彼。 その事に、安堵しつつ、何と返していいか一瞬躊躇ったオレのかわりにか、隣の人は端的に呟く。 「…全くだ。」 「や。日下部には言ってねぇし。オレが謝ったのは、可愛い可愛いりっちゃんだけだし。」 しずかちゃんの謝罪に応えたのは、オレではなく、事態を冷静に眺めていた日下部先輩だった。 「…なにが『りっちゃん』だ。セクハラは止めろ。」 「呼んだだけでセクハラ扱いかよ。」 …論点がズレてる様な気がしなくもないが、場の空気を変えてくれて感謝です。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |