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※日下部視点です。


「………。」


「生きていて下さって、何よりです。」


無表情のまま、淡々とそう告げると、男はククッと可笑しそうに笑った。


「相変わらず、取り繕わねぇな。」

「バレる嘘をつくのは、無意味ですから。」

「まぁな。」


失礼にあたる物言いを、男は咎めなかった。


アッサリ同意し、この話題はここまでだ、と言わんばかりに書類の山に、再び手を伸ばす。


私も退室しようと、一礼し、踵を返そうとした時、ふと、もう1つの用件を思い出す。


「…暁良様。」

「…何だ。」


書類を目で追いながら、男は短く促す。


「もう1つ、ご報告しておきたい件があります。」


「………。」


男は、面倒臭そうに指で書類を弾き、顔を上げだ。


「手短に済ませ。」


「は。…志藤家の御当主の容態が、思わしくないようです。」


私の言葉に、男の眉間にシワが刻まれた。


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あきゅろす。
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