[携帯モード] [URL送信]

Main
3


それが変わったのは、いつの頃だっただろう?


見えてないんじゃないかと、いっそ清々しい位に、前を素通りしていた男が、いつの間にか、オレの前で立ち止まり、オレを見て笑うようになった。


陰、と嬉しそうな声でオレを呼び、ペタリと傍に張り付くようになった。


「…何かのきっかけがあって、変わったんだと思うんだけど……思い出せないんだよなぁ……。」


考え込むオレに、西崎は短く嘆息する。


「……まぁ、いい。それよりも、これからの事だ。」


仕切りなおすように言うと、西崎は、まだ考え込んでいた武藤の頭を軽くはたいた。


「いい加減戻ってこい。」

「………。」


憮然とした顔で、武藤は西崎を睨んだ。


「…考え込むのは結構だが、キレて突っ走るのは勘弁してくれ。」


冷ややかな目で、そう呟く西崎に、武藤は舌打ちした。


「…んなワケねぇだろ。」


―――、アレ?



何か今、頭の隅を掠めたような…。



『…そんなわけ、ないだろ。』


ああ、いつだかオレが言った言葉。
…何のタイミングで言ったんだっけ?




………?



記憶を手繰るうちに、オレは自然と昔を思い出していた。


さして遠くない、過去の断片を。



.

[*前へ][次へ#]

19/98ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!