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それが変わったのは、いつの頃だっただろう?
見えてないんじゃないかと、いっそ清々しい位に、前を素通りしていた男が、いつの間にか、オレの前で立ち止まり、オレを見て笑うようになった。
陰、と嬉しそうな声でオレを呼び、ペタリと傍に張り付くようになった。
「…何かのきっかけがあって、変わったんだと思うんだけど……思い出せないんだよなぁ……。」
考え込むオレに、西崎は短く嘆息する。
「……まぁ、いい。それよりも、これからの事だ。」
仕切りなおすように言うと、西崎は、まだ考え込んでいた武藤の頭を軽くはたいた。
「いい加減戻ってこい。」
「………。」
憮然とした顔で、武藤は西崎を睨んだ。
「…考え込むのは結構だが、キレて突っ走るのは勘弁してくれ。」
冷ややかな目で、そう呟く西崎に、武藤は舌打ちした。
「…んなワケねぇだろ。」
―――、アレ?
何か今、頭の隅を掠めたような…。
『…そんなわけ、ないだろ。』
ああ、いつだかオレが言った言葉。
…何のタイミングで言ったんだっけ?
………?
記憶を手繰るうちに、オレは自然と昔を思い出していた。
さして遠くない、過去の断片を。
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