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狂児
「それよりも、話を進めてくれ。」
武藤と違い、すっかり自分のペースを取り戻した西崎は、そうオレに促す。
「ああ…、うん。」
オレも、戸惑いつつも頷く。
「…陽、は今、うちの学校にいるんだけど…それは知ってるんだよね?」
西崎は『ああ』と短く頷いた。
「奴は転校を数回繰り返している。…お前を探しているんだろうな。」
「まぁ、十中八九…といいたいトコだけど、百パそうです。」
「………。」
西崎は、ハァ、と深いため息をついた。
「…お前は、随分厄介な奴ばかりを釣り上げるな。《陰/陽》の陽といえば、冷酷非道の白龍より尚、タチの悪い男として有名な奴だぞ。」
…もっともです。
白さんは、身内には甘いんだけど、敵には容赦無い。
無表情で、拷問かリンチすれすれの喧嘩をするから、そんな風に呼ばれたりするんだけど…。
陽は、ある意味、逆。
さも愉しそうに、返り血を浴びる。
自分の傷も気に止めず、血に塗れて哂う姿は、…何というか、凄惨。
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