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「どっから話したらいいのかなぁ…。」
自分の事ながら、オレってかなり複雑な立ち位置なんだよね…。
「…まぁ、最初に。……二人とも知ってると思うけど、夜の街では、オレは《陰/陽》の総長『黒龍』の影、『陰』と呼ばれてる。」
「別名、『導き手』だな。」
西崎の言葉に、苦笑しつつ、頷く。
まぁ本当は、そんなご大層なものじゃ無いんだけど。
一応、そう呼ばれているのは事実だし。
「で、…」
「ちょっと待った。」
続けようとしたオレの言葉を、武藤が遮る。
「何?」
「黒龍は、お前の何なんだ?」
「へ?」
キョトンとしたオレに、武藤は言葉を重ねる。
「易々と近付けるような男じゃねえぞ。あれは。」
武藤の言葉を続けるように、西崎も口を開いた。
「…懐が広く度量もあるが、二つ名の通り、眠れる荒神だ。誰も本当の意味で傍には行く事の出来ない。《陰/陽》の総長直属である『陰』の席も、ずっと空席だった筈だ。」
よく知ってるなぁ。
流石、情報屋ってちょっと感心しちゃったよ。
そう、《陰/陽》が出来た頃から。
白龍直属『陽』が埋まっても、ずっと『陰』は空席のままだった。
その場所に、急に出てきた、しかも弱そうな平凡顔のオレが座っちゃ…一悶着無いワケない。
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