Main 2 「どっから話したらいいのかなぁ…。」 自分の事ながら、オレってかなり複雑な立ち位置なんだよね…。 「…まぁ、最初に。……二人とも知ってると思うけど、夜の街では、オレは《陰/陽》の総長『黒龍』の影、『陰』と呼ばれてる。」 「別名、『導き手』だな。」 西崎の言葉に、苦笑しつつ、頷く。 まぁ本当は、そんなご大層なものじゃ無いんだけど。 一応、そう呼ばれているのは事実だし。 「で、…」 「ちょっと待った。」 続けようとしたオレの言葉を、武藤が遮る。 「何?」 「黒龍は、お前の何なんだ?」 「へ?」 キョトンとしたオレに、武藤は言葉を重ねる。 「易々と近付けるような男じゃねえぞ。あれは。」 武藤の言葉を続けるように、西崎も口を開いた。 「…懐が広く度量もあるが、二つ名の通り、眠れる荒神だ。誰も本当の意味で傍には行く事の出来ない。《陰/陽》の総長直属である『陰』の席も、ずっと空席だった筈だ。」 よく知ってるなぁ。 流石、情報屋ってちょっと感心しちゃったよ。 そう、《陰/陽》が出来た頃から。 白龍直属『陽』が埋まっても、ずっと『陰』は空席のままだった。 その場所に、急に出てきた、しかも弱そうな平凡顔のオレが座っちゃ…一悶着無いワケない。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |