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安心させるように、笑うと、しずかちゃんは、オレの背に手を回す。



ぎゅう…


確かめるように、ゆっくりと抱きしめられた。


抱き潰さないよう、慎重で丁寧な手付き。
…大切なものを扱うような、優しい手にオレは、少しだけむず痒さを感じつつも大人しく腕の中におさまった。


「ケガ、本当にないね?」

「うん。」


「……よかった。」


心からの言葉に、オレは胸が暖かくなった。


「………、!」


ふと、しずかちゃんの肩越し、視線を上げたオレは、じっとこちらの様子を観察していた男前と目が合う。


もう、切れ長なグレーの瞳は瞠られてはいなかったが、じっと此方に寄越される視線は、当然納得なんてしておらず。


…説明してくれ。


そんな静かな声が、聞こえた気がした。

…無茶する度にやられてたなぁ、昔も。
本人、説教のつもりは無いらしいんだけど、真顔で懇々と説き伏せらせるアレは、間違いなく説教だと思う。


…でもね、玄武さん。


オレも良く分かってないんですけど。


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あきゅろす。
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