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※墨田視点です。
小柄な少年は、バランスを崩し、後ろへと傾く。
危ない、と俺が咄嗟に手を伸ばす前に、志藤が少年に手を伸ばした。
さっきまで飄々と笑っていた奴と、同一人物なんだろうかと疑いたくなるような必死さで。
ズザッ…ドサッ。
志藤は、スライディングして、少年を抱えるようにキャッチした。
「…大丈夫?」
…この男に、そんな声が出せたのか、と俺は呆然とする。
少年が何事か呟いたが、それすら耳に入らない程の衝撃だ。
心底心配そうに、少年を見つめる男は、気分屋で、タチの悪い《ケルベロス》副総長には、まるで見えない。
「大丈夫…有り難う。」
「!?」
少年の声を聞いて、俺は、驚愕する。
その聞き慣れた声に、改めて少年の顔を見つめた俺は、我が目を疑った。
…綺麗な黒髪は、明るい茶に変わってしまっていたが、間違いない。
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