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※墨田視点です。
…志藤の言葉に、俺は、数ヶ月会っていない人物を思い浮べた。
別に彼は、レアでもなんでもない。…周りの奴らは気付いていなかったが、集会にもよく参加していたし、俺のバイクの後ろにも、よく乗っていた。
勝手に『陰』という存在が一人歩きしてしまっただけ。
彼自体は、明るくて優しいごく普通の少年だ。
「…君らも、そのコを探してるって、ホント?」
「………。」
わざとらしく志藤は、俺に訊ねてくる。
「知らんな。」
俺がはっきりと否定すると、志藤は意外そうに目を瞠る。
次いで、俺の意図を探るような目になった。
「王子様の探しものは、龍の影だって聞いたけど?」
「俺の捜しものではない。…知りたいならば、本人に聞け。」
俺には関わりの無い事だ、と言い切ると、志藤は、短く嘆息する。
「…君んとこの王子様は、話が通じる相手じゃないでしょ。」
最もだ。
アイツは、常識、というものが、一切通じない。
機嫌の悪い時ならば、話し掛けた時点で襲い掛かってくる事さえある。
だが、敵に親身になってやる道理などない。
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