Main 2 ※清水視点です。 冷ややかな目で睨み付けるが、奴はビビるでもなく、涼しい顔だ。 「気分を害させて、申し訳ありませんでした、青。」 「…本当、可愛くねぇな。」 低く舌打ちし、オレは壁から足を外す。 ニッコリ笑って、再び歩き始めた奴の隣を、オレも不本意ながら歩き始めた。 「…今回は、このクラスです。」 ピタリ、と奴は足を止める。 どうやら原始的に、端からクラスをつぶして歩く気らしい。 確かに、コイツは陰の名前は知らないが、顔は当然知っている。 しかも、もうすぐホームルームが始まる今の時間であれば、全員が揃っている可能性は高い。 …マズいな。 そのクラスは、ビンゴで陰のクラスだ。 いくら、髪の色を替え、眼鏡を掛けたとはいえ、所詮、突貫工事並の簡易変装。 それで、何処までコイツを誤魔化せるか。 オレが、考えている間にも、奴は教室の扉に手をかけてしまう。 …陰。 どうする…? 事の成り行きを見守るように、オレは息を詰めた。 しかし、オレの目の前で、奇跡はおきた。 その時、奴は、間違いなく輝いていた。 オレは、証言するぞ。 陰。 あの瞬間、お前は、神がかった平凡だった、と―――。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |