ｱﾘｽｲﾝﾜﾝﾀﾞｰﾗﾝﾄﾞ
１２
「それだけ？」
「それダケ！」
「…じゃ、行きます」
ヘーイ！
男は一声叫んで、
家の中に飛び込んで行った。
アリスはどんびきながら
その後をついていく。
「おじゃましまーす…」
扉を開けて家の中に入る。
アリスはぎょっと目を見開いた。
部屋の中には、
全部で２人の人間がいる。
一人は金髪の女の子。
こちらに背を向けているおばあさん。
あとは、女の子の膝の上のうさぎ。
おかしいのは、
むせかえるような…
林檎の匂い!
「な、な、
何なんですか…」
部屋中、林檎だらけだ。
床には本物の林檎が、
カーペットのように
敷き詰められている。
棚には林檎、
机にも林檎、
椅子にも林檎。
女の子は、
りんごでお手玉をして遊び、
ときにかじったりしている。
「………無法地帯、だわ…」
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