アリスインワンダーランド
3
11時が過ぎた。
(……アリス…)
チェシャ猫の眉尻が下がる。
彼にとっての大いなる感情表現だ。
「もう行こう…」
チェシャ猫は起き上がると
とぼとぼ歩いて、扉を開けた。
「っ…」
内開きのドアを開ければ、
息を飲むような音がして
目の前には
アリスがいた。
不安そうに枕を抱えて。
「アリス…!」
「あっ…えっと、
夜遅くにごめん…
迷惑なら、帰るんだけど…」
困ったように視線をそらすアリスの
くちびるを奪いたくなる衝動を抑え、
チェシャ猫はアリスを抱きしめる。
「迷惑なわけない…」
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