こねことおおかみ/完結
春の訪れと
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凍てつく寒さの冬はすっかり影をひそめ、いち早く鮮やかに校庭に色をさしていた梅の花に続くように植物たちが芽吹き始める。
すっかり春の兆しを見せるその様子に、風邪を引くからと宗昭に止められていたお散歩に繰り出そうと凛は計画していた。
それなのに今日は屋内でじっと椅子に座っていなければならない。
抜け出すにも抜け出せないのだ。
「だって、卒業式だもんな」
「ぅー」
そう、体育館で絶賛卒業式中である。
「馨ちゃん、僕お尻いたい」
「いつものとこに座ればいいだろ」
「だめだよ。むーくん寝てるもん」
「・・・・あっそーじゃぁ我慢だな」
「ぅーじんじんする・・・・」
全生徒と保護者、教師や来賓などが集まる館内は感動と別れの寂しさに包まれているが、特に親しい先輩が卒業するわけでもない在校生にとってはそれほど思い入れはなく、ただ式が無事に終わるのをじっと待っているしかないのだ。
「馨ちゃん、眠いからお膝貸して?」
「いやいや、こんなとこで膝枕なんかしようって言うんじゃないんだろうな。お前、パイプ椅子から転げ落ちるぞ」
お尻の痛み解決法についてコソコソと内緒話をする凛と馨の両サイドでは腕を組んで眠る宗昭と、馨にもたれて眠っている亮平。
厳かな式でたたき起こすのも気が引ける馨は、首をくすぐる金髪がむず痒いのを我慢して優しく肩をかしている。
それを逆手にとって亮平が人前で甘えて眠っているふりをしているとは知らずに。
「じゃぁどうすればいいの?」
「いや、ちゃんと式を見届けろよ」
「うん・・・・・」
じっと前を見つめる凛。
「馨ちゃん・・・・」
「ん?」
「タケちゃんせんせの隣にみゃーこさんが座ってる」
「・・・・・・・」
「ブッ・・・・」
「?・・・・」
小さく噴出した亮平に馨が視線をよこしたが、なんとか誤魔化し逃れた亮平であった。
いつもと変わらぬ4人。
それでも一年前とはまったく変わった関係と
それぞれの気持ち
春。
別れの季節_______
<*わんにゃん#>
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