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デンシンが、唇を尖らせていると、はぁーー、と長いため息のあとイシンは言った。

「わかった、助っ人を寄越すよ……せんせも呼ぶよ。
ミュンヒも居るから平気かな、頑張って持ちこたえといてね。ああ、そうそー」

言葉を切り、イシンは改めて二人を見つめて、言う。

「校長がね、また何か『思った』らしい」


「思った……?
校長が、また、思ったっていうの!?ほんとなの」

「校長が、思った!? なんて重大ニュースなのよ! あぁん、居合わせたかった」

デンシン、ラコ、それぞれがリアクションする。せざるを得ないほど、この学園において、
校長が「思う」のはすごいことだった。

校長――学園長、いろんな呼び方があるが、学園で一番すごい、長である。

その、校長には能力がある。
「思う」ことだ。
彼が「思った」ことは、思うだけで力を持ってしまう。
この前、校長は教頭と喧嘩して『すまんかった、と思う……』だけで、教頭の身体能力が数日向上していたとか、カツラではなく地毛が数日生えたとかで、話題がもちきりになった。
ラコも何かいい意味で『思われて』みたいものだと思っていた。
彼の口数は多くなく、
だいたい思うだけで済ませてしまうので、その声を実際耳にする機会自体少ない。
こんな事件のある日に、彼はなにについてどう、『思った』というのか。

「もっとも思わずに口にすることや、あまり真剣に思わないことは、特に影響力を持たないらしいけど――ミステリアスだよね、校長……」

イシンが言う。廊下だろうか?あまりぱっとしない、シンプルな壁が背景にある。
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