ページ:3
「先に――忠告しておくわね」
振り向き様に、デンシンがラコに囁いてくる。
「な、何を」
「あの子。普段は穏やかなんだけど1つだけ欠点があってね」
そう言いつつ彼?(彼女?)はちらりと目の前のイシンを見る。
「あの子、いーちゃんって呼ぶとガチギレするらしいの。だから、絶対呼ばないこと」
「その名前でいじめられでもしたの?」
「そうみたい。まあもっとも、いじめられるのは好きみたいだけどね」
……深入りしないでおこう。
「なにかようじ? こっちは、大事件で、緊急で体育館に集合中だよ、早く来なよ……はぁ、せっかく、パジャマ着たのに」
いー、じゃなかった、イシンがだるそうにため息を吐く。
「デンシンは、なにそれ、でえと?」
「アライヴ?」
「指名手配みたいに言うな。……あぁ、なるほど、結界に閉じ込められたか」
「そうなのよ、あんたやっと着替えたのね、全く、いつもの場所にいなくて探したのに。
アタシは校則に従ってこのお嬢さんとそっちに向かおうとしてんのよ」
「…………あ、そ」
ドライだな。
6/2312:25
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!