ページ:10 押し返された反動で、ナマエはザックスから距離をとる。 「お前は、そんな憎しみを抱えたまま生きていきたいのかよ!!」 「…ッ」 ズクリ、胸が軋む。 身体が熱くて、血がたぎる。 憎い、憎い、憎い そして、何よりも 「苦しいに、決まってるじゃない…!!」 大きく息を吸い込み、ナマエは再度切りかかる。 激しくぶつかる金属音、その中でナマエは苦しげに顔を歪めていた。 「何かを憎むと、憎んだだけ自分は苦しくなる!」 苦しみは心を蝕み、その人を闇に突き落とす。 「私がこれだけ苦しいってことは、…兄さんは、もっと苦しみを味わってるってことなんだよ!」 「!」 「兄さんは何も悪くないのに、悪いのは…!!」 神羅なのに ガランガランッ ザックスはハッとする。バスターソードを薙払われ、あろうことか取り落としてしまった。 ナマエはといえば、双剣のひとふりを此方に向けて構えていた。 「兄さんがまだ生きてるということは、まだ苦しみが続いてるってこと」 「!」 「私達の全てを狂わせた奴らのせいで…兄さんは今も苦しんでる」 そんな兄さんを、独りにしておけるわけ…ないじゃないか [*前へ][次へ#] [戻る] |