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ザックスと言えば、予想もしないこの状況に、軽く動揺していた。
昼食前にひと泳ぎでもしようかとビーチに出てみれば、
レジャーシートもしかず、しかもビーチパラソルもない場所で熟睡している見知った人間がいたからだ。
先日の彼女の反応を見る限り、また逃げられてしまうのではないか。とも思われたが、そのまま置いておくのも気が引けて、ナマエを起こしに近寄ったのだ。
しかし、今のこの状況はいったい何だ…
「寝ぼけてたから、か?」
ザックスはナマエの背中の砂を軽く払い落としてやり、その肩を引き寄せた。
「オイル塗ろう、か…」
「あ、」
ナマエが寝入ってから暫くすると、シスネがオイルボトル片手にやってきた。
その声にビクッとザックスが肩を揺らせば、振動でナマエは小さく唸る。
ザックスにナマエが寄り添って寝ていることに気付いたシスネは、キョトンとまばたきを数回してから可笑しそうに笑った。
「ふふ、お邪魔だったかしら」
「か、からかうなよッ」
ザックスは慌てた様子でナマエを抱えて立ち上がり、近くに据え置かれたビーチチェアに横たえさせる。
それでも起きないナマエを見て、二人は顔を見合わせて苦笑した。
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