ページ:3 ザックスと言えば、予想もしないこの状況に、軽く動揺していた。 昼食前にひと泳ぎでもしようかとビーチに出てみれば、 レジャーシートもしかず、しかもビーチパラソルもない場所で熟睡している見知った人間がいたからだ。 先日の彼女の反応を見る限り、また逃げられてしまうのではないか。とも思われたが、そのまま置いておくのも気が引けて、ナマエを起こしに近寄ったのだ。 しかし、今のこの状況はいったい何だ… 「寝ぼけてたから、か?」 ザックスはナマエの背中の砂を軽く払い落としてやり、その肩を引き寄せた。 「オイル塗ろう、か…」 「あ、」 ナマエが寝入ってから暫くすると、シスネがオイルボトル片手にやってきた。 その声にビクッとザックスが肩を揺らせば、振動でナマエは小さく唸る。 ザックスにナマエが寄り添って寝ていることに気付いたシスネは、キョトンとまばたきを数回してから可笑しそうに笑った。 「ふふ、お邪魔だったかしら」 「か、からかうなよッ」 ザックスは慌てた様子でナマエを抱えて立ち上がり、近くに据え置かれたビーチチェアに横たえさせる。 それでも起きないナマエを見て、二人は顔を見合わせて苦笑した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |