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ザックスを見送った後、シスネは背後の円柱に声をかける。そうすればその後ろから、眉尻を下げたなんとも頼りなさげな表情をしたナマエが現れた。
「ありがとう、シスネ」
「気にしないで」
すまなそうに肩をすくめるナマエの頭を、シスネはポンと優しく叩く。
ナマエがエレベーターから駆け下りて来るのを見つけて、とっさに状況を理解したシスネはいち早く行動にでたのだ。先程ザックスに言った事は彼女を庇う嘘だった。
「ザックスと貴女が一緒にいるの、久し振りに見たわ」
「うん、さっき指令室で会ったんだ」
そう、とシスネはそれだけ言ってフロアの奥に目をやった。どうやらそれ以上は聞くつもりはないらしい、おそらくナマエへの配慮だろう。
ごめんねとナマエが謝れば、いいのよとシスネは小さく笑った。
「レノでも呼んで来ようか?」
「え、」
「いくらこの会社が広くても、彼に会う確率を低くしたいでしょ」
「あ、でも。ううん大丈夫ッ」
シスネがケータイを取り出して番号を打ち込み始めれば、ナマエは慌てて首を振る。
「任務から帰ったばかりだから私、もう今日は帰るつもりだったんだ」
ナマエは腰に携えている得物に手を添えて見せた。
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