ページ:4 ザックスを見送った後、シスネは背後の円柱に声をかける。そうすればその後ろから、眉尻を下げたなんとも頼りなさげな表情をしたナマエが現れた。 「ありがとう、シスネ」 「気にしないで」 すまなそうに肩をすくめるナマエの頭を、シスネはポンと優しく叩く。 ナマエがエレベーターから駆け下りて来るのを見つけて、とっさに状況を理解したシスネはいち早く行動にでたのだ。先程ザックスに言った事は彼女を庇う嘘だった。 「ザックスと貴女が一緒にいるの、久し振りに見たわ」 「うん、さっき指令室で会ったんだ」 そう、とシスネはそれだけ言ってフロアの奥に目をやった。どうやらそれ以上は聞くつもりはないらしい、おそらくナマエへの配慮だろう。 ごめんねとナマエが謝れば、いいのよとシスネは小さく笑った。 「レノでも呼んで来ようか?」 「え、」 「いくらこの会社が広くても、彼に会う確率を低くしたいでしょ」 「あ、でも。ううん大丈夫ッ」 シスネがケータイを取り出して番号を打ち込み始めれば、ナマエは慌てて首を振る。 「任務から帰ったばかりだから私、もう今日は帰るつもりだったんだ」 ナマエは腰に携えている得物に手を添えて見せた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |