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「熱…ない、から」
「本当に?」
「ホントッ…」
どうにも口がうまく回らないナマエを、ザックスは不信げに見つめていた。
これ以上はまずい、
心臓が爆発してしまう…
ナマエの心中で警報が鳴る。ザックスから向けられる視線にも、その存在自体も、今のナマエにはある意味刺激が強すぎたのだ。
そんなナマエを見かねてか、ザックスは小さく息をついて両手の力を抜き、ナマエの頬に添えるだけにした。
「お前の中で」
「わた、し…?」
「俺は、さっきの統括と同じか?」
そう言われて、ナマエはハッと我に帰る。焦点を合わせれば、先程よりも幾分か不安そうに瞳を揺らすザックスに、思わず目を見張る。
何も答えないナマエに、ザックスは更に言葉を紡いだ。
「俺が恐いか?」
「…ッ」
瞬間、ナマエの脳裏にあの日の光景がよぎる。
あの時の彼から放たれる言いようのない雰囲気。それに気圧され、不安と恐怖が自分を埋め尽くした。
しかし、彼に感じた感情は
それだけだったわけではなかったような気がする
その、他に感じた感情はいったい…
「ナマエ…?」
頬に添えられたザックスの手に、自分の手を重ねるナマエ。まるで何かを思案するように瞼を閉じて。
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