ページ:4 「熱…ない、から」 「本当に?」 「ホントッ…」 どうにも口がうまく回らないナマエを、ザックスは不信げに見つめていた。 これ以上はまずい、 心臓が爆発してしまう… ナマエの心中で警報が鳴る。ザックスから向けられる視線にも、その存在自体も、今のナマエにはある意味刺激が強すぎたのだ。 そんなナマエを見かねてか、ザックスは小さく息をついて両手の力を抜き、ナマエの頬に添えるだけにした。 「お前の中で」 「わた、し…?」 「俺は、さっきの統括と同じか?」 そう言われて、ナマエはハッと我に帰る。焦点を合わせれば、先程よりも幾分か不安そうに瞳を揺らすザックスに、思わず目を見張る。 何も答えないナマエに、ザックスは更に言葉を紡いだ。 「俺が恐いか?」 「…ッ」 瞬間、ナマエの脳裏にあの日の光景がよぎる。 あの時の彼から放たれる言いようのない雰囲気。それに気圧され、不安と恐怖が自分を埋め尽くした。 しかし、彼に感じた感情は それだけだったわけではなかったような気がする その、他に感じた感情はいったい… 「ナマエ…?」 頬に添えられたザックスの手に、自分の手を重ねるナマエ。まるで何かを思案するように瞼を閉じて。 [*前へ][次へ#] [戻る] |