ページ:7
「どうかしたか、ザックス」
ラザードは全く動揺も見せず、自分の腕からナマエを奪い取るように引き剥がして、警戒するように距離をとるザックスを見ていた。
ナマエはと言えば、状況が理解出来ずにザックスとラザードを見比べている。
「俺はたまたま通りかかっただけだけど?」
「そうか」
「うん、そういうこと」
肩に回された腕に力がこもったのを感じて、ナマエはザックスを見上げる。その視線はラザードに向けられたまま、ナマエにおろされることはなかったが。
「ナマエ」
「ッ」
「あとは自分で考えるといい」
ラザードは普段の穏やかな微笑を浮かべて、二人に退室を促す。
今までのその笑顔が仮面だったと、気付かされた瞬間だった。
後日、この上司はこの組織から姿を消すこととなる。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!