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その“何か”が何たるかを、この目の前の人間は見破ったのだろう。


「教えてあげようか、君の悩みの答えを」


白の手袋に覆われた右手に肩を軽く押されて、その体重をかけられれば、ナマエは背後にあった壁に背中を貼り付けた。耳元に感じた息遣いに、思わず首をすくめる。
逃げられない逃げられるはずもない、この人間から。おそらく彼は、良くも悪くも私の理解者だから。


「恐がる事はない。何故なら我々が何よりも正しいのだから」



そして、その“何か”が何たるかを君が理解したならば、それを境に



「君は我々の同志となる」

「な、に…ッ」


耳を塞ぎたくなるような思いに、ナマエはギュッと目を瞑る。



分からなくていい、今は分からなくていいから

だから、

やめて、やめて
今の私を変えないで

私が変わってしまう、私が私でなくなってしまう

お願い、お願いだから、これ以上
私の居場所を奪わないで






















「ラザード統括、それってセクハラじゃねぇの」


久しく聞いた、懐かしい声音。
刹那、視界が大きく揺れた。

心臓が止まるんじゃないかと思えるくらいにナマエは驚き、目を見開いた。





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あきゅろす。
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