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やっぱり、来なければ良かった

教会の玄関の階段を登りきって、後悔が押し寄せる。

瞬間、胸がつまった。
目の前の出来事に、頭が痛くなった。

嘘、なんて呟く気も失せるくらい明白な事実を突きつけられたようで。

扉の向こう側で
彼女は彼を抱きしめ、彼は彼女に背中を預けて泣いている

綺麗すぎる光景、
悲しみの中に、優しさや慈愛を醸し出す世界

しかし、今の自分にはあまりにも不必要で
胸の痛みで心が悲鳴をあげていた。

私の前では泣くことすらなかった彼が
彼女の前で泣いている


何かに突き飛ばされたような、衝撃。
しかし、麻痺する思考の中で冷静な自分もいた。


いつも、そうだ
私はいつも、彼に何もしてあげられなかった
どんなに彼が苦しんでいても、何も言葉をかけてやれない
そんな私を、彼が必要とするわけがない

私に彼が必要でも、
彼に私が必要とは限らないのだ


扉にかけた手をソッと外す。
ナマエは来た道をゆっくり戻った。



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