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「ねぇザックス」

凛とした声。
それでいて柔らかく、優しい。
俺は少し離れた床で、彼女に背を向けるように腰をおろしていた。

「上の町に行ったら空、近いんだよね」

穴の開いた、教会の天井から降り注ぐ淡い光が彼女と花に降り注ぐ。
背を向けていても分かる、眩しい光景。

「怖いけど。お花達、喜ぶ…かな」

それにつられるように、教会の天井を見上げる。
あぁなんて、優しい光なんだろうか
その光に誘われたように、頬を何かがつたう。

あぁ、アイツの前では泣かなかったくせに
アイツに見られないならば…と、堪えていた何かが溢れ出した。

…アイツには、弱い自分を見せたくないんだ
でもそれはたぶん言い訳。
恐いんだ…アイツまで、手放さなくてはいけなくなるような気がして


ギュッ


背中から、優しいぬくもり。
心配してくれるのか、こんな俺を

君なら、俺を救ってくれるのか
優しい優しい天使さま
今だけでいいから、俺を許して


「うん…」
「ありがと…な」

何も言わずに頷く天使は、とても暖かかった。



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