*
「ちょっと財布の中身が寂しくって…節約してたんだよ」
「馬鹿じゃないの、命のお金どっちを…!」
「ちょ、落ち着けナマエ…ぐぇ」
しまいにはザックスの首に手をかけるナマエ。
流石にザックスも身の危険を感じギブアップを表明する。
しかし、
フワリ
「…ナマエ?」
首を掴んでいた両手はほどかれて、代わりに両腕を回されてギュッと抱き締められた。
ナマエは目をつぶって、ザックスと自分に言い聞かせるように呟いた。
「本当に死んだら、どうすんの…ッ」
ナマエの声は微かに震えていた。
ズキンと、ザックスの胸に響くものがあった。
「絶対、もう二度と…こんなことしないで」
「そう、だよな…」
「…。」
ナマエは腕をほどき、ザックスと視線を合わせるように顔をあげる。
「一度きりなんだからね」
「おう」
二人はどちらともなく微笑み、立ち上がる。
もとの世界に戻ると、皆はいなくなっていた…
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