*
「違う。寂しくなんかなかった」
「嘘つき」
「嘘じゃない」
「滅茶苦茶恐かったって、顔に書いてあるぞ」
「そんなこと…」
ナマエは自分の頬に手をあてる。
すると、ナマエは口をつぐんでしまう。
頬は硬く、冷たかった。
ザックスは、固まるナマエの手に自分の手を重ねた。
「ほらな、嘘つき」
流石にバツが悪く、ナマエは反論の言葉を呑み込む。
それに満足したように、ザックスはナマエに微笑みかけた。
「悪かった。独りにして」
「…」
ナマエはとうとう、意地をはるのを止めた。
肩の力を抜いて、少し納得いかなそうな表情をする。
「悪かった。本当に」
「…分かったよ」
ザックスが問いかけると、ナマエはふてくされたように顔を背けて、素っ気ない返事をする。
しかし、その表情は先程より和らいでいた。
今回は、ザックスの方が一枚上手だったようだ。
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