* 「探したよ」 ナマエはボソッと呟く。 「ちょっとだけだろ。俺なんてスラムのそこら中探し…、…」 そこまで言うと、思わずザックスは口を閉じる。 突然、ナマエの肩が微かに震えだしたからだ。 「…ナマエ?」 「目が覚めたら、誰もいない…薄暗くて、寒くて…じめじめした、錆臭い廃棄物ばっかり」 周りには誰もいなくて、 正直、心臓が冷えた 「ずっとずっとスラムを独りで歩いた。早くザックスを見つけたくて…そしたら、ウィンドに会ったの」 ザックスはハッと先程の事を思い出す。 『あの子、あんまり独りにしてやるなよ?』 おそらく、あの男性がウィンドだろう。 あの時、ウィンドは付け加えるように、こう言った。 『初めてあの子を見つけた時、表には出さないけど相当怯えてたぜ…だから彼女を子供達の所に誘ったんだ』 まるで道しるべを失った子供のように [*前へ][次へ#] [戻る] |